せめてもう一回、もう一回 君がくれた笑顔で笑いたい

 働けど 働けど なお わが暮らし 楽にならざり じっと手を見る
 
 もうなんかもうだめだ。鬼が笑いながら「もうすぐ来年になるけどいいの?お前そのまんまで。いいの?この状態で年越すの?さすがにやばくない?ほらもっと自分の年を考えようよ。ていうかどう生活してたらこんな汚くできるの?なんでこんなんなるまで放っておけるの?普通はもうちょっと前の段階で気付くよね?あーこれやばいんじゃないかなーって思うよね?クローゼットあるんだから使いなよ。出したらしまおうよ。脱ぎっぱなしにするなよ。せめてハンガーくらいは活用しようよ。本は積まずに本棚に入れようよ。ねえ、本当にお前何年生きてるの?」と言ってきますがだめです。もう動けません。多分、鬼が嘘ついてるんだと思いますがあと一日で今年が終わりだって嘘だよね?だって鬼って悪い奴だもん。そりゃ嘘ぐらいつくよね?泣いた赤鬼なんて感動的な児童書があるけどあれも嘘だよね?それとこの世界も嘘だよね?全部虚構だよね?真実なんて一つもないよね?猫がいないこの世界で私はもう生きていけないよね?
 あー。こんなだったら猫が死んだときに赤い糸でお互いの手首をくくって玉川上水に飛び込めばよかった。今更遅いけど、飛び込むべきだったわー。時々ふと心の底から『私なんで生きてんだろ』と考えるけど原因はそれだよ。猫だよ。どんだけ脆い心だよ。引きずりすぎだよ。前見ようよ。前見て歩こうよ。猫はいないけど、ほら、彼氏がいるじゃん。彼氏に申し訳ないよ。猫>彼氏ってひどい構図だよ。人間の方に重きを置きなさい。

 ああ。彼氏もいなかったわ。どうしよう。

 来年の目標は『結婚する』と『猫を飼う』と『卒業する』です。

 皆様良いお年を。