君のいない一秒は まるで永遠のよう

 愛なんていらねえよ、残暑。

 この夏はものっすごい密度が濃かったね。とりあえず猫が死にました。人生の半分を共に過ごした最高の伴侶が召されました。享年、十四五歳。愛してたんならちゃんとした年を覚えてやれよと思いますがなんかちょっとしたショックで昔のことが思い出せない病に罹っているのでそこは勘弁していただきたい。

 真夜中に様子がおかしいということでかかりつけの獣医さんへ連れてゆき、朝の六時まで寝ずにずっと猫をなで続け、仮眠を取りに家に帰りうとうとしかけたところ携帯に緊急連絡。こん睡。眉毛も描かずに自転車飛ばして再会した猫の意識はもうありませんでした。目も見えないし耳も聞こえない。ただ肉球を押すとぎゅっと握りかえしてくれる。ボロッボロに泣いて泣いて泣いて多分何時間かずっと抱っこをしてどうしたら一番いいのか考えてもなにも浮かばなくて私は頭が悪いなあ、本当に嫌になるくらい悪いなあとそんでもって苦しいのはこいつなのに辛いのもこいつなのに自分のことが誰よりも大好きな私は多分一番間違った選択肢を選びました。安楽死
 そこから先の記憶が途切れ途切れだけど家までの帰り道に見上げた空の青さと高さだけを異様に覚えていて自分は間違ったことはしていないと強く信じこもうとして涙も枯れ果ててそれでも早く普通に戻らなきゃいけないから火葬場の手配をしてお花を供えて冷たく固くなっていく猫をやっぱりずっとなでてベットのわきに段ボールごと置いてまた少し仮眠を取って起きて寝てる間に生産されてであろう涙がまた溢れ出てなんだろう。なんでこんなに辛いんだろう。悲しいとか寂しいとかじゃなくて辛い。次にこの家に帰ってくるときはこいつはもう猫の形をしていないただの骨。

 まあ色々端折りますが一週間で二キロ痩せました。多分あと猫が二十匹くらい死ねば私はモデル体形になれます。ただこれは諸刃の剣ダイエットなので確実に精神を病みます。私は元から病んでいるので全く問題ありませんでした。ただ安定剤を飲む回数は増えました。絶対にお勧めできません。注意。

 愛していると言ってくれ