渚にまつわるエトセトラ

 母親の「カニ食べに行くけどあんたも行く?」の甘い誘惑に誘われてカニを食べてきましたwith愚痴小言。両親と長女の私と四女の四人で行ったのですが母親的には考えに考えてこの作戦できたんでしょうね。あ、こいつらカニだと言えばホイホイついてくるだろうな、と。
 一人でワインを頼み飲み始める母。その対面に私。隣に父。その前に四女。料理は非常に美味しかったのですがワインボトル一本空けた母の口から繰り出される言葉はすべて私の心を抉り取りましたね。これからの身の振り方(二代続いた大田商店の暖簾は四女に継いでもらってあんたにはこれから新しく建てる新居兼アパートの大家になれと命令されました)だとかもし片方でも親が死んだら持ってる不動産の半分は処分しろだとか両方死んだら財産はすべて売却して自由に生きろ(ここでうちはビル一個とマンション6部屋を持っていると初めて知らされました。なに黙ってこっそりマンションなんか買ってたの・・・?)挙句の果てには父の弟(もう20年近く音信不通)の悪口まで発展しましたよ。ああ、あと夢は娘の彼氏たちと麻雀卓を囲むことだそうです。心底どうでもいい。
 そうしてるうちに、酒が入ってエンジンがかかった母は泣き始め(曰く私の母は幸せだったと。そして父方の母は孫にろくに会えずにかわいそうだ等。)元から無口な四女は黙々と料理を消費し、こんな母親ともう30年以上の付き合いになる父はここで口を挟もうならどういう展開になるか身を持って知っているのでやはり黙ってカニを口に運び、私は話半分に聞いて相槌を打つでもなく時々頷いたり頭を振ったりしていましたがやはり居た堪れなくなり途中で「煙草吸ってくる」と席を外したりもしました。(後ろから母が「あんた禁煙してたんじゃなかったの」と言っていた気もしますが気のせいですよね。)
 これから両親の「美味しい物を食べに行こう」発言には敏感にならざるを得なくなりました。耳が痛い。兄さん耳が痛いよ。